ゴム焼き

なんの取り柄もない20歳大学生です

ニーネ

昨日、阿佐ヶ谷でニーネというバンドのギターボーカルの大塚さんの弾き語りを見に行った。結果からいうと、めちゃめちゃシビれた!かっこ良かった!

そもそものきっかけは、ニーネの大ファンだと言う漫画家の大橋裕之による似顔絵を、私もちょっくら描いてもらおうと意気込んで行ったことにある(大橋裕之のファンなので)。

 

会場はとっても小さいスペース、スペースと言うかアパートの一室?で、空気も悪く、正直居づらくて、始めは我慢して背もたれのない硬い椅子にじっとり座っていた。当初の目当てだったはずの似顔絵も500円取るのか…どうしよう…お金ないし…と悩み出して、開始早々帰りたいと思ってしまっている自分がいた。

 

弾き語りは出演者二人で、一人はEMCの江本さん、もう一人はニーネの大塚さんだった。江本さんの演奏が終わり、休憩がてら外に出て背筋をのばす。夏の蒸し蒸しする空気すら快適だった。このまま帰っちまおうかな、とも思ったが、最初に払った3000円がなんとも惜しい。学生と言う身分も相まって、どこまでもケチだ。隣の阿佐ヶ谷姉妹の看板を見つめボーっとしたあと、しばらくして会場に戻ることにした。

 

会場に戻ると、ミッキーマウスのポロシャツを着たニーネの大塚さんが、すこし話をして、ギターを弾き始めた。演奏が始まるまで、ミッキーマウスをじっと見ながら帰ろうか悩んでいたのに、私はすぐに大塚さんの演奏に引き込まれることとなった。ちょっと溜めるように弾くギター、少し音のズレた、でもまっすぐな歌声、猫背でクッとお客さんを見つめながら歌う彼の目に、私は吸引された。惚れてしまったのだ。

 

斉藤由貴の不倫の歌「情熱」を歌い上げ、「ボクはいいと思いますけどネ、ふりん」と言って、イタズラそうに微笑むその笑顔に、むねをい抜かれた。会場には、人生のすいもあまいも経験したくらいの年齢の人が多いこともあり、まわりはスッと静まり返ってしまったが、勇気さえあれば、わたしも不倫賛成派です!と声高々に叫びたかったところである。まあ、恥ずかしいのでやめた。「マカロンの歌」では、すこしピッチを早めて、ギターをギュンギュン言わせて、屈んだり立ったり大忙しで、それもまたかっこ良かった。見たことがないけどマカロンを君と食べたいなんて、いつかだれかに言われてみたいよ。曲にまつわる数々のエピソードも、それにつながる歌詞も、一見くだらないようで、ひとりひとりにとってとても重要な話のように思える。大塚さんと大橋裕之とが「タイ料理」のセッションをしたあと、私の頭の中でこの曲のくり返しタイ料理と叫ぶ部分がぐるぐるぐるぐる回って止まらない。今でこそパクチーブームだが、「僕はパクチーが好きで君もパクチーが好きだから今度一緒にタイ料理を食べよう」なんて内容の歌詞がいまから7年前に出てきたとは、流石である。そもそも、僕も君もこれが好きだから同じことをして、同じ空気を味わおうという考え方は、とってもとっても単純明快で純粋で素直なのに、とってもとっても難しいことのように思える。

大橋裕之は「ロックが何かわからないけどニーネはロックなのだと思う」とベストアルバムの帯で語っていたが、私も本当にその通りだと思った。この人ほど子どものころの純粋さで歌詞に向き合っている人は居るのだろうか。ドキドキが止まらないと同時に、20のくせにひねくれ野郎の自分がちょっぴりなさけなくなったよ。

 

この後のカバー大会も秀逸で、江本さんと二人でゆらゆら帝国のパーティはやらないをしたとき、大塚さんがエレキに変えてポロポロ音を出していたのが印象的で、一音一音心にキュッと刺さった。こんなにいい歌だたっけ、とも思った。

 

 

なんかめんどくさくなってきたから書くのはこのくらいにする。CDを買って大塚さんと握手をして帰り、完全に恋に落ちた私は、会場で寝ていた彼氏に王将で説教をして、お家へ帰ったのでした